技術がどんなに進化しても、本質はきっと変わらない。私はそう考えています。
道具を使って課題を解決していた時代から、パソコン、インターネット、そしてAIまで、人類は手段を増やし続けてきました。それでも最後に残るのは、人と人とのつながりです。
これは、AI技術顧問として活動している私が、日々の判断の真ん中に置いている考え方です。今回はその持論を、自分の言葉で書き残しておきます。
「AIで何でも自分一人でできる時代」という錯覚
最近の生成AIの進化を見ていると、こういう感覚を持ちやすいと感じます。
- AIに聞けば、専門家がいなくても判断できる
- AIがコードを書いてくれるから、エンジニアに頼まなくてもいい
- AIが資料を作ってくれるから、相談相手はもう要らない
確かに、AIによって一人でできることの幅は劇的に広がりました。私自身もその恩恵を毎日受けています。
ただ、ここで一つ気をつけたいことがあります。「AIさえあれば、全部自分一人で完結できる時代になった」と思い込むのは、たぶん錯覚です。
私の感覚では、AIが手段を増やしてくれたからこそ、人と人とのつながりがより大事になっていると感じています。
道具・パソコン・インターネット・AI——どれも人をつなぐための手段
少し視点を引いてみます。人類が獲得してきた手段を並べると、こうなります。
- 道具を使う
- パソコンを使う
- インターネットを使う
- AIを使う
並べてみて気づくのは、これらは全部「人と人の間に何かを生み出すための手段」だったということです。
道具は、作ったものを人に届けるためにありました。パソコンは、計算結果や資料を人と共有するためでした。インターネットは、世界中の人と話せるようにしました。AIは、考えを整理して人に伝える助けになります。
どれも「人と人をつなぐ手段」として進化してきました。手段は変わっても、その先にいるのは常に人です。
課題を解決する手段としての、4つの階層
私の頭の中で、課題解決の手段はこう整理されています。
- 道具を使って解決する
- パソコンを使って解決する
- インターネットを使って解決する
- AIを使って解決する
どれを使うかは、解決したい課題によって決まります。
ただ、ここで強調したいのは「どの手段を選んでも、解決する課題の先には人がいる」ということです。温度を測る相談の先には、その場で働く人や暮らす人がいます。書類を整理する相談の先には、その書類を見て判断する人がいます。
手段だけ見ていると、つい技術の話に寄ってしまいます。でも本当に大事なのは「誰のための解決か」「その人にとってのゴールは何か」を一緒に話せる相手がいるかどうかです。
感動を作り出す手段としても、4つの階層がある
同じ整理が、感動・体験を作り出す側にも当てはまります。
- 道具を使って作り出す
- パソコンを使って作り出す
- インターネットを使って作り出す
- AIを使って作り出す
人類は手段を増やしながら、ずっと「新しい体験」「新しい感動」を作り続けてきました。
ここで大事なのは、感動は人と人の間でしか生まれないということです。道具で作品を作っても、誰かに届いて初めて感動になります。パソコンで動画を編集しても、見る人がいて感動が成立します。AIで絵を作っても、それを共有する相手がいるからこそ意味が出てきます。
私が技術に対して面白さを感じているのは、「今までできなかったことが、できるようになる」というところです。これは、マイナスをゼロにする生産性向上ではなく、ゼロをプラスに変える話です。
例えば遠隔操作の技術によって、場所を選ばずに働けるようになりました。これは単なる効率化ではありません。物理的な制約があって今まで働けなかった方が、他の人と一緒に働けるようになった、という話です。技術が、人と人とのつながりを新しく作り出したわけです。
私自身、AIに助けられても、最後に動くのは人との関わりの中でだった
持論を語っているだけだと思われたくないので、自分自身の話を書きます。
私は今、自分の事業の創業計画を進めています。事業計画書を書く、戦略を立てる、リスクを洗い出す。本来であれば、苦手な部分も含めて自分で勉強して進めるべきところです。
そこでAIに壁打ちをしながら進めています。自分が動けない理由を言語化してもらい、何が足りないのか、AIに整理してもらう。
特に効いた一言があります。
私はリスクを過剰に怖がる性格で、何をやるにも慎重になりすぎる傾向があります。それを話したとき、AIからこう指摘されました。
「5分と交通費くらいしか失わないリスクと、500万円かけて失敗するリスクを、同じ重みで考えているのは違うのではないか」
これは効きました。「失うものが小さいなら、まずやってみる」という判断ができるようになりました。
ただ、ここで大事なのは、AIに整理してもらった先に実際に行動した内容です。誰かに会いに行く。誰かに相談する。誰かと話して、次の一歩を決める。AIで整理した後、最終的に動いたのは全部、人との関わりの中でした。
AIは出発点に立たせてくれます。でも、その先の道は、人と歩くものです。
温度計の話も、結局は相談者との対話から生まれた
私の判断スタイルとしてよく話す例があります。
「室内の温度とCO2濃度を見える化したい」という相談に対して、システム提案を考え始めると、こういう構成案が出てきがちです。
- IoTセンサーを設置する
- センサーのデータをクラウドに送る
- クラウドでデータを蓄積する
- スマホアプリで見られるようにする
立派な構成です。でも、相談者と話していくと、「温度計とCO2計を一つ買ってきて、その前にウェブカメラを置けば、スマホからいつでも見られます」で要件は満たせることが多いです。
費用は数千円から数万円、開発工数はほぼゼロです。
ここで大事なのは、この答えはAIに聞いて出てきたものではないということです。相談者と直接話していくうちに「本当に欲しいのはシステムじゃなくて、温度とCO2が見られる状態だ」と一緒に気づいていく。人と話すことでしか見えないゴールがあります。
以前、知人から「清水さんは本質を突いている」と言われたことがあります。私がやっているのは、技術の話というより、相手と話して本当のゴールを見つけ出す作業です。
AIが進化したからこそ、一緒に考える人を持っておきたい
AIが進化したことで、一人でできることは確実に増えました。それは事実です。
ただ、一人でできることが増えると、こういう状態に陥りがちです。
- AIに聞いて答えが出るから、人に相談しなくなる
- 答えは出るけど、それが本当に自分の課題に合っているのか判断できない
- 行き詰まったとき、相談先がない
- AIとのやり取りだけが続いて、現実が動かない
AIは万能ではありません。AIは過去の情報と一般論の集積です。今あなたの目の前で起きていることに対して、本当に最適な判断ができる相手は、その状況を一緒に見てくれている人です。
だから私は、AIが進化した今こそ、「一緒に考える人を持つ」ことの価値が上がっていると感じています。AIで方向性を整理する、人と話して具体に落とす、また AIで深掘りする、また人と話す。この往復が、現実を動かすコツです。
私が技術顧問として大事にしているのは「一緒に考える」こと
私の技術顧問の仕事は、AIや技術の知識を売ることではありません。
月額契約で継続的に、目の前の課題を一緒に考える。これが私の提供している価値です。
相談を受けたとき、最初にやるのは「何を解決したいのか/何を作り出したいのか」を一緒に整理することです。技術の話はその次です。整理した結果、「ここはAIが効きます」と提案することもあれば、「ここはエクセルで足ります」「ここは温度計とウェブカメラで終わる話です」「ここは人がやった方が早いです」と提案することもあります。
ここで大事なのは「選んで終わり」ではなく、「選んだ後、現場で動くまで一緒に進む」ことです。AI導入も、システム構築も、選定で終わらせると、結局現場で止まります。動かしきるのは、人と人のやり取りの積み重ねです。
私が単発コンサルではなく月額顧問という形を選んでいるのも、ここが理由です。
手段はこれからも増え続ける。でも最後に残るのは、人とのつながり
技術はこれからも進化し続けます。AIの次の手段も、いずれ生まれます。10年後、20年後にどうなっているか、正直に言えば私にも分かりません。
それでも、こう考えています。手段がどれだけ増えても、最後に残るのは人と人とのつながりだ、と。
AIで何でも自分一人でできるようになる、というのは少し違うと感じています。むしろ、AIが手段を増やしてくれたからこそ、誰と一緒に考えるか、誰と現場を動かしていくか、という人選びがより大事になります。
技術は、人と人をつなぐ手段です。手段に振り回されず、その先にいる人を見ながら判断していく。これが、私が技術顧問として大事にしている、いちばん基本の考え方です。
まとめ
- 技術が進化しても、最後に残るのは人と人とのつながり。AIで何でも自分一人で完結できる時代になったわけではない。
- 道具・パソコン・インターネット・AIは、どれも「人と人の間に何かを生み出すための手段」。手段の先には必ず人がいる。
- 「マイナスをゼロにする」生産性向上だけでなく、「ゼロをプラスにする」新しい体験も、人と人の間でしか生まれない。
- AIが進化した今こそ、一緒に考える人を持つ価値が上がっている。AIで整理、人と話して具体化、の往復が現場を動かす。
「AIに聞いて答えは出てくるけど、自分の課題に本当に合っているか判断できない」「一緒に整理して動かしてくれる相手がほしい」と感じている方は、無料の30分オンライン診断から状況をお伺いします。手段を決めて終わり、ではなく、現場で動くところまで一緒に進めます。
この記事の内容について、現場で整理したい方へ
AI×IoTの技術顧問として、月額契約で継続伴走しています。PoC設計・技術判断・組織設計・ベンダー管理・実装支援まで、現場で動くまで一緒に進めます。受託開発(請負)ではありません。
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