Claudeが私の想像を超えてきた話
具体例を挙げます。最近、画像認識のデモアプリを作っていました。最新のYOLOやClaude Visionなら10種類のAIが1枚の画像で動くWebアプリです。 私が最初に頭の中で描いていた構成は、こうでした。 「フロントは Next.js、バックエンドは FastAPI、Azure に置く。月のクラウド代は5,000円くらいかな」 ところが、Claude と相談しながら進めると、構成がどんどん削られていきました。 「Container Apps の scale-to-zero を使えば、リクエスト無いときはタダになります」 「Static Web Apps の Free SKU で、フロントは月0円です」 「ACR Basic だけが固定費、月$5(約750円)です」 最終的に、月750円で動くものができました。最初に私が想像していた1/7の運用コストです。 これだけなら「コスト最適化を Claude が手伝ってくれた」で済むんですが、もっと驚いたのは、UI設計の提案でした。 私は当初「採用したAIモデルだけを並べる」UIを考えていました。Claude は「採用したモデルだけでなく、検討して見送ったモデルも理由付きで一覧化したライブラリタブを作ったらどうですか」と提案してきた。 理由を聞いたら、「商談で『他のモデルと比べて何が良いんですか?』と必ず聞かれるので、先回りで全選択肢を見せておくと、商談が一段早く進みます」と。 これは私には思いつきませんでした。営業視点でUIを設計する、という発想自体が抜けていた。 実装してみると、本当にその通りでした。お客さんに見せるとき、「これは検討してこういう理由で見送りました」が一目で見えるので、信頼感が違う。自分1人で作っていたら、こうはなっていなかった
このアプリを作ったのは、私と Claude Code のペアで、延べ5〜6時間です。 ここで一番衝撃なのは、私はコードを1行も書いていない ことです。本当に何もタイプしていない。ただ Claude と「次これをやりたい」「ここで詰まった」「この実装でいいか」という会話をしただけ。それで完成しました。 私一人で同じものを作ろうとしていたら、こうはなっていません。- 構成を最適化する時間にもっとかかった
- UIの設計に「商談視点」は混ざらなかった
- 月$5の構成は思いつかなかったか、思いついても面倒で実装しなかった
- 認証・利用ログ・コスト管理まで揃える前に飽きていた
これまでの勉強は無駄じゃなかった。ただし、これまでの役割は終わった
ここをはっきり書きたいです。 Claude を触り始めて分かったのは、これまで自分が担ってきた役割そのものが、もう終わりに来ている という事実です。手を動かして実装する、構成を考えて組む、ドキュメントを整える、トラブルを直す──こうした「自分の手でやる」役割は、AI に任せた方が早く、安く、たいてい品質も良い。これは負け惜しみなく、認めるべき現実です。 ただし、これまで私たちが積んできた勉強は、無駄ではありませんでした。むしろ、いま生きています。 例えば、Claude が「Container Apps の scale-to-zero でコストを最小化しましょう」と提案してきたとき、私はこの提案の意味と落とし穴をすぐに評価できました。- リクエストが来ない時間はゼロ円になる、これは大きい
- でも、初回リクエストはコールドスタートで60秒くらいかかる
- 営業デモで使うなら、商談前に1回叩いて温めておく運用が必要
- だから採用OK、ただし運用フローも一緒に作る必要がある
だから、新しいステップに進む
役割が変わった以上、私たちエンジニアも次のステップに進む時期です。 これまで自分が「手を動かして作る人」として身を立ててきたなら、これからは「判断する人・指示する人・お客さんと話す人・並走する人」として身を立てる。 具体的にどう変わるか、私自身の動きで言うと、こういう具合です。- 実装は Claude に任せる。私はキーボードを叩かない
- 「何を作るか」「どこに価値があるか」を言語化する時間を増やす
- お客さんとの会話に時間を使う。商談の場で動くものを見せる
- 社内エンジニアと一緒に Claude を回し、彼らが判断できる人になるよう並走する
AIに仕事を奪われる、ではなく、AIで自分のエンゲージメントを上げる
ここからが本題です。 「AIに仕事を奪われる」論は、受け身の発想です。AI が何かをやるたびに、自分の仕事が削られていく、という構図。これだと、エンジニアは縮こまっていく一方で、楽しくない。 私はこれを逆に考えています。AIで自分のエンゲージメントを上げる。 エンゲージメントというのは、仕事への熱量、お客さんとの距離、市場価値、こういうものを総合した感覚です。AIを使い倒すと、これが全部上がります。 具体的にどう上がるか、私の体感を書きます。 1. 仕事の幅が広がる これまで「これは時間が足りないから手を出さない」と諦めていた領域に、踏み込めるようになります。私は最近、フロントエンドの設計にも踏み込めるようになりました。Claude がコードを書いてくれるので、私は「何を作りたいか」だけ伝えればいい。 2. お客さんとの距離が縮まる 商談で「こういうの作れますか?」と聞かれたとき、これまでは「持ち帰って検討します」と答えるしかなかった場面で、「ちょっと作ってみますね」とその場で動く形を見せられる。お客さんとの会話の質が変わります。 3. 市場価値が上がる 「Claudeを使い倒せるエンジニア」は、まだ市場にそれほど多くありません。今のうちに使い倒せるようになっておくと、5年後に価値の差が大きくなります。 4. 自分の楽しさが上がる これが一番大事です。Claudeとペアで仕事をすると、純粋に楽しい。「次こうしたい」と言えば動くものが返ってくる、そのテンポ感がエンジニアにとって幸福です。これからのエンジニアの在り方
私が考える、これからのエンジニアの在り方を3つ書きます。 1. AI を使い倒す側に回る 「AI が来たから自分の仕事が無くなる」と心配する側ではなく、「AI が来たから自分が今までできなかったことができる」と捉える側に回ります。受け身か能動かで、5年後の景色が全然違ってきます。 2. 自分の経験を AI への指示に変換する これまで何十年も積んできたエンジニアの経験は、Claude が動きやすくなる「良い指示」を出すための燃料です。「これはこういう構成で、こういう注意点があって」と前提を与えれば、Claude の出力品質が一段上がります。経験そのものが、これからの最強のスキルです。 3. 「これは AI、これは私」を判断する目を養う 全部 AI に任せるわけにはいかない場面はあります。お客さんとの関係、ビジネス判断、組織の意思決定、こういうものは AI に任せられない。逆に、コードを書く、構成を組む、ドキュメントを整える、こういうものは AI に任せた方が早い。境界線を引ける人が、これからのエンジニアです。まとめ
- Claude Code は、私の想像を超える提案を返してくる。コストもUIも、私一人で作るより良い。私はコードを1行も書かなかった
- ただし、これまで勉強してきた経験があるからこそ、Claude の提案を評価し、落とし穴を見抜き、良い指示が出せる
- これまで自分が担ってきた役割は終わった。でも勉強は無駄じゃなかった。役割が次のフェーズに進んだだけ
- AI に仕事を奪われる、ではなく、AI で自分のエンゲージメントを上げる側に回る
- これからのエンジニアは、AI を使い倒し、経験を指示に変換し、AI と人の境界線を引ける人
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AI×IoTの技術顧問として、月額契約で継続伴走しています。PoC設計・技術判断・組織設計・ベンダー管理・実装支援まで、現場で動くまで一緒に進めます。受託開発(請負)ではありません。






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