AI技術顧問って、何をしてくれて何はしてくれないのか|中小企業向けに、私が1日で作った実物デモと一緒に公開します

AI技術顧問って、何をしてくれて何はしてくれないのか|中小企業向けに、私が1日で作った実物デモと一緒に公開します

「これって本当に作れるんですか?」「いくらかかるんですか?」「どのくらいの期間で動きますか?」

中小企業の経営者・情シス担当の方とAIの話をすると、ほぼ必ずこの3つを聞かれます。

口で説明するより、実物のURLを渡した方が早い。そう思って、最新の画像認識AIを一箇所で比較検討できるWebアプリを作りました。

https://gray-beach-0b1bfea00.7.azurestaticapps.net

URLを開いて画像を1枚アップロードすると、10種類のAIモデル が同じ画像に対して何を出すかを、その場で並べて見られます。匿名のままでも5回まで無料で触れます。

開発期間は、最初の動く形だけなら約30分。機能追加・認証・利用ログ・月次コスト管理まで含めて、延べ5〜6時間。Azure上の運用コストはベースライン月$5(約750円)です。

これが2026年5月時点の、私が「1日でできる仕事」のサンプルです。

そして、これと同じものを「作って納品してください」と言われても、私は受けません。受けない理由が3つあって、その3つこそが、私が技術顧問という仕事を選んでいる理由でもあります。

この記事は、AI技術顧問を雇ったら何が出てくるのか/逆に何は出てこないのか、実物と本音で書きます。

Vision Demo — 1つの画像から10タスクが走る場所

最初に何を作ったかを共有します。

このアプリは、画像を1枚アップロードすると、次の10種類のAIがそれぞれ何を出力するかを並べて確認できる場所です。

  • YOLO26:物体検出・セグメンテーション・姿勢推定・画像分類・回転検出(5タスク)
  • Claude Vision:Opus 4.7 / Sonnet 4.6 / Haiku 4.5 の3モデル切替で、画像を自然言語で記述
  • EasyOCR:日本語+英語の文字読み取り
  • rembg:背景除去(透過PNG出力)
  • Depth Anything V2:単眼カメラから深度マップを推定
  • Azure AI Vision:Microsoftの汎用ビジョンAPI(caption・tags・objects・OCRを一発取得)

UI上では、各モデルに「Edge(オンプレ・自社サーバで動かせる)」「API(クラウド経由で呼ぶ)」のバッジを付けています。ライブラリタブには、採用したモデルだけでなく検討した上で見送ったモデル(SAM3/DeepFace/Real-ESRGAN/BLIP-2 など)も理由付きで並べています。

「私たちは選択肢を網羅的に比較した上で、これを選んだ」というメッセージを、UIそのもので示すためです。商談では「で、これって他の選択肢と比べて何が良いんですか?」が必ず来ます。先回りして比較を見せておくと、商談が一段早く進みます。

なぜ私はこれを作ったのか

動機は4つあります。影響の大きい順に書きます。

1つ目:最先端の画像認識を一箇所で比較できる場所が、世の中になかったから。

YOLOの物体検出を試せるサイトはあります。Claude Visionを試せるサイトもあります。でも「同じ画像を10種類のモデルに同時に投げて、出力差を比較する」場所はありません。製造業や小売のDX担当の方が「うちの工程にAIを入れたい」と相談に来たとき、「じゃあこの画像で各モデルがどう動くか見ましょう」と即座にお見せできる場所が必要でした。

2つ目:「これって作れますか?」に1秒で答えるため。

商談で「これって作れるんですか?」と聞かれたとき、口頭で「ええ、できますよ」と返すよりも、URLを渡してその場で動かしてもらう方が、説得力は10倍違います。この場で技術検証ができる営業ツールが手元にあると、仕事の受注確率が大幅に上がる。これは私自身の実感としてあります。

3つ目:「Claude Codeで1日でここまで作れる」を、自分の手で確かめておくため。

AI技術顧問として「最近のAIでできること/できないこと」を語るには、自分で動かして体感している必要があります。雑誌記事やニュースの受け売りで顧問業をやっても、相談相手から見れば見抜かれます。月に1本くらいのペースで「自分の手で最先端を触る」時間を取らないと、すぐに陳腐化します。

4つ目:技術顧問として渡せるアウトプットの「実物見本」を持っておきたかった。

「AI技術顧問って何をしてくれるんですか?」という質問に、コンサル資料や実績スライドで答えるのは弱い。「私が手元に持っている動くアプリ、これが私の最近のアウトプットです」とURLひとつで答えられるようにしておく。これが本記事の根本動機です。

1日でここまで作れる時代になった、という事実

開発工程はおおよそ次の通りです。

  • 最初の動く形(YOLOで物体検出が動くだけのアプリ):約30分
  • 機能追加(Claude Vision、OCR、背景除去、深度推定、Azure AI Vision):累計2〜3時間
  • 認証(Microsoftログイン)/レート制限/利用ログダッシュボード/月次コスト管理:累計1〜2時間
  • UIのデザイン全面改修・サンプル画像のキュレーション・コールドスタート対策:累計1時間

合計で延べ5〜6時間です。私はその間、Claude Code(Opus 4.7)とペアで仕事をしていただけです。コードを直接書いた量は、おそらく全体の5%程度。残りは「次に何をやるか」「この実装でいいか」「ここで詰まった、どう抜ける?」という会話で進みました。

技術選定の細かい話(Azure Container Appsのscale-to-zeroで月$5を実現した構成、YOLO26の5タスク統合、Claudeモデル別コスト比較、EasyOCRとPaddleOCRの選択、性別年齢判定を倫理リスクで見送った経緯など)は、別記事のシリーズで詳述します。

ここで強調したいのは、こういう構成のアプリが、今は1日で出来てしまうという事実です。これは技術顧問として依頼者に最も早く伝えるべき情報です。「あれもこれも難しい」と言ったまま3年が経つと、その会社は確実に取り残されます。

それでも、私はこれを納品しません

ここまで読んで、こう思った方がいるはずです。

「じゃあ、うちの社内向けにも同じものを作って納品してもらえないか」

これは、私が 絶対に受けない仕事 です。理由を3つ書きます。

理由1:開発を引き受けると、終わりがなくなる。

システムを納品すると、最初は「これで完璧」と思っても、運用が始まると必ず「ここを直したい」「この機能も欲しい」が出てきます。完璧なシステムというものは存在しません。だから追加機能開発が永遠に続き、その先には保守運用が待っています。

SIerであれば、それで日銭を稼げるのでむしろ嬉しい収益構造です。でも私はSIerではありません。一度SIerの世界を経験して、保守運用の退屈さを知っています。私がSIerの働き方を選ばなくなった理由のひとつでもあります。

理由2:私が主導すると、その経験が貴社に残らない。

「AIを導入する」というのは、システムを買うことではなく、社内に「AIで何ができるかを判断できる人」を育てることです。私が全部やってしまうと、貴社の担当者は何も学べないまま、出来上がったブラックボックスを使うだけの状態になります。

3年後にモデルが進化したとき、貴社が自分で判断できないなら、また外部に依頼するしかありません。それは技術顧問の仕事として失敗です。

理由3:労働集約のビジネスは、私のスケールを縛ります。

私が手を動かしてしまうと、私の時間が直接お客様の請求書になります。これは貴社にとっても損です。同じ単価を払うなら、私の時間は「貴社が悩んでいる場面で即答する」「最先端の選択肢を提示する」「判断軸を整える」ことに使ってもらった方が、価値が大きいはずです。

開発を引き受けると何が起きるか — 想定シナリオで描く

具体的に何が起きるかを、想定で書きます。

最初の打診は、おそらくこうです。

技術の話がそろそろまとまりそうです。でも社内にエンジニアがいないので、清水さんに開発もお願いできませんか?

この依頼を受けると、まず要件定義の打ち合わせが始まります。打ち合わせを重ねるうちに「ここはこうしたい」「これも入れたい」が出てきます。完璧を目指すのが人間の習性です。3ヶ月後にリリースした頃には、要件は最初の倍になっています。

リリース後、最初の1ヶ月は順調です。2ヶ月目から「ちょっとした改修」の依頼が始まります。3ヶ月目には「もう少し精度を上げたい」「別の業務にも展開したい」が来ます。半年経つ頃には、私は貴社の「外部開発担当」として常駐に近い動き方をしている可能性が高い。

そのとき、貴社の社内には何が残っているか。

動くシステムは残っています。でも「次に何を選ぶか」「何を捨てるか」を判断できる人は、社内に育っていません

この構造が嫌で、私は受託の働き方を選んでいません。これを技術顧問として再現するわけにはいきません。

私が技術顧問として、最初の1ヶ月にやること

ここからが、月額契約を頂いた場合に私が実際に提供する仕事の話です。

1週目:状況把握と最初の助言。

具体的な案件が既にある場合は、アーキテクチャの助言から入ります。クラウドの選び方、モデルの選び方、コストの試算、開発を内製するか外注するか、外注するなら誰に頼むか。Vision Demoのような実物を見せながら「これと同じ構成なら月いくら」「貴社のケースだとこの部分が変わる」を具体的に話します。

何から始めれば良いか分からない段階の場合は、「貴社の業務で、何ができそうで/何が難しいか」を私の経験談と実例から整理します。AI活用の入口を一緒に決めるところから始めます。

2〜3週目:週1の定例で並走する。

定例会議は週1回が基本です。都度質問は受けません。都度対応すると私の時間が労働集約に飲み込まれるので、必要であれば別途タイムチャージで対応します(時間単価で対応する)。

定例会議で扱うのは、進捗確認ではなく「次に何を判断するか」です。技術選択、ベンダー選定、契約条件、社内説明資料の方向性、リスクの見積もり、こういう「経営者が一人で抱えると重い判断」を、外部目線で軽くするのが私の役割です。

1ヶ月目の終わりに残るもの:

派手な成果物は出ません。私は資料も納品物も作りません。

代わりに、貴社の経営者・担当者の手元には「明らかに選択肢が増えた」「視野が広がった」という体験が残ります。

知らないことは判断できません。判断できないと、何もできません。中小企業の経営者は、勉強する時間がありません。でも「清水に相談したら、最近のAIでこんなことができると分かった」「自社で取れる選択肢が3つから10個に増えた」という状態を作れれば、貴社は次の3ヶ月で確実に動けるようになります。

これが続けば顧問契約は継続しますし、別の経営者を紹介してくれる流れも生まれます。これが私の技術顧問業の収益構造です。

「紹介できる開発会社はほぼない」を正直に書きます

ここは正直に書きます。

「では、清水さんに開発はお願いしないので、代わりに開発を任せられる会社を紹介してください」と言われたとき、現時点で私の手元に紹介できる開発会社のリストはほぼありません

独立直後で、信頼して紹介できるパートナー網がまだ十分でないからです。「とりあえずこの会社に頼んでください」とリストを渡すことは、責任の取れない助言なので、しません。

代わりに何をするか。

貴社のチームと一緒に開発会社を探します。候補会社の選定基準を一緒に作り、見積もりを一緒に読み、初回ミーティングに同席します。私は主導しません。意思決定は貴社にしてもらいます。私はその場で「ここは聞いておいた方がいい」「この提案にはこういうリスクがある」を耳元で言う役回りです。

これも「貴社の担当者が、開発会社選定の経験を一連の流れとして体験する」ためです。私が全部決めてしまうと、次回も私に頼むしかなくなります。

助言はしても、意思決定はしない。これが私の引いている境界線です。

受託でなく顧問契約だからこそ渡せる3つの価値

整理します。私が技術顧問契約で提供できる価値は3つです。

1. 最先端の速度感を即提供する。

「これって作れますか?」と聞かれたとき、私は「Claude Codeを使えば1日でこれぐらいまで作れます」と即答できます。Vision DemoのURLを渡して、その場で触ってもらえます。判断材料の提供スピードが、社内に閉じた検討より圧倒的に早くなります。

2. やる/やらないの判断軸を持っている。

Vision Demoの中で、私は「採用したモデル」だけでなく「検討した上で見送ったモデル」も明示しています。例えば顔の年齢・性別判定モデルは、HR業界・医療業界・DEI文脈ではそのままNGワードになるので、技術的に作れても実務で使うべきではありません。「やらない判断」を一緒にしてくれる相手は、AIプロジェクトの失敗を防ぎます。

3. 内製化を加速させる伴走力。

私は貴社の代わりに開発をしません。代わりに、貴社のチームが自分で判断・選定・運用できるようになるための定例伴走をします。3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に「以前と比べて、社内のAIリテラシーが明らかに上がった」と経営者に感じてもらうのが目標です。

逆に言うと、システムを買いたいだけの会社、保守運用ごと外部委託したい会社には、私は不向きです。それはSIerや開発会社にお願いしてください。

対応エリアと初回相談

私はつくばみらい市(茨城県)を拠点にしています。地元の経営者・自治体の方からの相談は最優先で受けます。

ただし、技術顧問業はオンライン中心で運用しているので、対応エリアは全国です。週1の定例ミーティングはオンラインで十分回せます。必要があれば現地に伺います。初回の顔合わせは可能な限り直接お会いしたいので、関東近郊であればこちらから伺います。それ以外の地域でも、オンライン初回 → 必要に応じて出張、という形で進めます。

まとめ

  • 2026年5月時点で、Azure上に月$5で動く「最新画像認識AIを一箇所で比較できるアプリ」を、Claude Codeとのペアで延べ5〜6時間で作りました。これが私の技術顧問のアウトプット見本です。
  • 「これと同じものを作って納品してください」という依頼は、私は受けません。理由は、開発を引き受けると保守運用まで終わりがなくなるから・私が主導すると貴社にノウハウが残らないから・労働集約は双方の損だから、の3つです。
  • 代わりに私が提供するのは、週1定例での並走・最先端の判断材料の即提供・「やる/やらない」の判断軸・開発会社選定への同席です。意思決定は貴社に残します。
  • 紹介できる開発会社のリストは、現時点では持っていません。代わりに、貴社のチームと一緒に開発会社を探し、見積もりを一緒に読み、初回ミーティングに同席する形で並走します。

「うちの会社でAIを進めたいが、社内にエンジニアがいない」「いきなり開発会社に頼むのは怖い」「最近のAIで何ができるのか、判断する目線を社内に持ちたい」と感じている経営者・情シス担当の方は、無料の30分オンライン診断から相談を受け付けています。初回でVision Demoの実物を見せながら、貴社のケースに当てはめて何ができそうかを話せます

この記事の内容について、現場で整理したい方へ

AI×IoTの技術顧問として、月額契約で継続伴走しています。PoC設計・技術判断・組織設計・ベンダー管理・実装支援まで、現場で動くまで一緒に進めます。受託開発(請負)ではありません。

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About The Author

Hideki
東京大学発AIスタートアップ企業でロボット開発室室長、画像解析室室長、動画解析室室長を務め、AIエンジニアとしても画像認識関連の特許を在籍中に3つ取得。その後、KDDIグループ内でプロダクトリーダーとして自然言語処理パッケージの自社開発を経て、現在はAGRISTのテックリードとして農業の人手不足の解決に向けた収穫ロボットの開発にチャレンジしている。ロボットは技術の総合格闘技との考え方から、AIだけでなく、ハードやエレキ、通信からクラウド、IOTまで幅広く手掛けることができる。最近では人とロボットの共存を目指すべく、性能だけを追い求める開発から「感動やワクワク体験」をデザインできるロボットの研究を進めており、人とロボットがうまく共存できる世界を作り出したいと日々行動している。

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